日韓関係からみる済州平和フォーラム
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趙佑鎮
日本 多摩大学経営情報学部 教授[/caption]
済州フォーラムは、
日韓両国間の友好増進において着実に貢献してきた。
本稿では、これまでの済州フォーラムを通じての日韓交流の経緯と経験をレビューすることで、
済州フォーラムが、アジアと世界の平和に大きく寄与する仕掛けとしての可能性と意味を検討してみる。

済州フォーラムを通じての学生と経営者の日韓友好交流
多摩大学は、アジア時代・アジアダイナミズムの課題をビジネスの現場で解決できる問題解決力と地政学的知をもった人材の育成を教育目標としてかかげ、そのために5年連続して済州フォーラムに参加している。
初めは、日韓友好とアジアの平和問題に関心と志が高い日本の学生と経営者を、済州フォーラムにより多く招待したいという人間開発研究院からの提案で始まった。毎年研修名目で 40人位の学生と教職員たちが 、50人位の日本経営者訪問団とともに済州フォーラムに参加して、東アジアの平和と繁栄を促進するための各国首脳の基調講演と討議などを通じて、多国間対話と世界のビジネス最前線を肌で感じて、国際関係とビジネス ICTに対する深い洞察を得ることができた。
参加5年目の2017年は、済州平和研究院訪問に加え、済州フォーラム事務局が周旋した済州漢拏大学との国際交流提携を締結し、両校学生交流会を済州フォーラム内で開催した。また、高校大学教育連携の一環として多摩大学目黒中学高等学校の生徒も済州フォーラムに参加した。本研修は、参加および課題レポートを提出することにより、アクティブラーニング実践として単位認定もされる。日本学生のための済州平和研究院長の日韓関係に対する講義と、体験教育の一環として済州平和精神をテーマにした済州平和センター見学を通じて、学生から韓国に対する印象が肯定的に変化したという所感を多く聞くことができた。
日本の経営者も、東京都倫理法人会、日本BE研究所、100年経営研究開発機構等の経営者団体を中心に、「日本経営者済州フォーラム訪問団」を結成し、毎年熱心に参加している。訪問団は人間開発研究院とセッション企画を協議し、これまで、「企業感性」、「倫理経営」、「公益資本主義」、「持続可能な100年経営」等のアジア的価値観に立脚した世界経済の課題解決方案の提唱を主眼としてきている。
学生にとって済州フォーラムは、国際交流の機会を提供するという側面から大きな意味があるが、普段会えない日本の経営者との親密な交流と懇談会も何より大きな魅力の一つでもある。実際に学生と経営者との日本訪問団懇談会にはこれまで、済州フォーラム招待主賓である福田康夫、村山富市元首相や下村博文文部科学省大臣も激励の挨拶のため参加し、アジア平和問題の大切さを一緒に認識する意味深い場を持つことができた。
今後とも日本の経営者と学生は、日韓友好とアジア平和のための未来志向的な議論と興味深いイベントを期待して、済州フォーラムに持続的に参加するであろう。

アジア的価値観から世界問題への有効な示唆を考える場に
20世紀は欧米諸国中心のパラダイムが世界を支配し、「競争と対立、戦争の時代」であった。
調和を重んじるアジアにおいても「競争と対立、戦争の時代」が背中合わせの状況であり、地域の中心ともいえる日本、韓国、中国における相互の歴史問題への認識と扱いの未熟さ、お互いを認めない民族主義の激しい高まり、北朝鮮問題、世界的な資本主義の危機の到来のなかで、その行く末が憂慮されている。
しかしながら、21世紀は「共生と調和、平和の時代」になるべきである。この時代は調和精神に基づくアジア諸国が中心となって時代を創っていかなければならない。日本人と韓国人もこの観点から、アジア人として何を行っていくべきかを模索し、日本人と韓国人のアイデンティティを最大限発揮し、大いなる情報発信と貢献をしていくべきである。このことはアジア型の解決方法と知恵を世界に向かって提示することにほかならず、ゆくゆくは世界平和のためのアジア連帯の必要性の高まりを政治、経済、社会、宗教、文化、哲学的側面から呼び起こすことになると思われる。
その一歩として、アジアで早くから近代自由民主主義と市民社会が育まれた日本と韓国が、地球的視点で世界平和への想いをひとつにし、日韓とアジア独自の平和への方途を虚心坦懐に明かせる場づくりが重要であり、そのような場に済州フォーラムがなることを期待している。政府関係者だと様々な公式の立場があり、自由な議論がしにくい故に、個人としての経営者、学生、専門知識人等の民間人が公式の立場の人々とともに、アジアから世界平和への有効な示唆を先導すべきであろう。